はじめに
不登校の背景には多くの要因がありますが、「いつ頃から、どのように不登校が始まったか」という“発症時期と経過の把握”は、原因分析と今後の支援を考えるうえで非常に重要です。この記事では、不登校の典型的な発症時期と経過パターンを紹介し、保護者や支援者が見逃さずに対応できるよう解説します。
不登校が発症しやすい時期とは?
不登校の発症には、ある程度共通するタイミングがあります。文部科学省の調査や現場の支援経験から、以下の時期が特にリスクが高いとされています。
小学校高学年(10歳〜12歳)
- 思春期の入り口で感情が不安定になりやすい
- 勉強や人間関係の複雑化
- 「学校がつらい」と感じ始めるが言語化が難しい
中学1年生(中1ギャップ)
- 環境変化が大きく、学校生活への適応が困難
- 友人関係の構築や部活動のストレス
- 自分の「弱さ」を見せにくい年頃
長期休み明け(夏休み・冬休み後)
- 生活リズムの乱れ
- 学校への不安が一気に高まる
- 2学期からの不登校は非常に多い傾向
不登校の経過パターンとは?
不登校の始まり方やその後の経過は、子どもによって様々ですが、よく見られるパターンを以下に示します。
① 徐々に行けなくなるタイプ
- 朝の腹痛や頭痛を訴える
- 遅刻や早退が増える
- 「今日は休みたい」と言い出す頻度が高まる
→ 徐々に欠席が連続し、そのまま登校できなくなるケース
② ある日を境に突然行けなくなるタイプ
- きっかけは些細な出来事(叱責・いじめ・授業中の失敗など)
- 「もう無理」と突然登校拒否になる
→ 本人も理由を言語化できず、保護者が混乱しやすい
③ 再登校と欠席を繰り返すタイプ
- 「頑張って行くけど続かない」を繰り返す
- 周囲は「サボり」と誤解しやすい
→ 本人のエネルギー切れや環境要因の影響がある
発症時期と経過を把握するメリット
- 原因の特定につながる:発症のタイミングを振り返ることで、背景にある問題(人間関係・家庭環境・発達特性など)を見つけやすくなります。
- 回復への道筋が見える:経過パターンを知ることで、子どもが再び学校や社会とつながるために必要な支援が見えてきます。
- 二次的な問題の予防:放置すると昼夜逆転やネット依存、自己否定感などを招くため、早期対応が大切です。
保護者・支援者ができること
- 「いつから?」を一緒に振り返る
→ 登校しぶりのきっかけを丁寧に思い出してみましょう。 - 日記や記録をつける
→ 子どもの行動や体調、気持ちの変化を記録しておくことで、専門機関への相談もスムーズに。 - 決めつけずに話を聞く
→ 「また怠けてるの?」ではなく、「どんな気持ちだったの?」と気持ちに寄り添うことが大切です。
まとめ
不登校の「発症時期」と「経過」を知ることで、見えない心の動きを理解しやすくなります。保護者として、支援者として、子どもの歩みに寄り添うためには、焦らず丁寧に“その子の物語”を紐解く姿勢が必要です。
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