子どもや若者がスマホやゲームから離れられない──その背景には、脳の仕組みに基づいた“やめられない理由”があります。
本記事では、ネット依存・ゲーム障害のメカニズムについて、脳科学や心理学の視点からわかりやすく解説します。
依存を「ただの甘え」ではなく、医学的に理解し、適切に対応するヒントをお届けします。
ネット依存・ゲーム障害とは?
ネット依存・ゲーム障害の定義や診断基準をわかりやすく解説。ICD-11に基づく最新情報も紹介します。
ネット依存やゲーム障害は、WHO(世界保健機関)が「精神および行動の障害」として分類する正式な疾患です。
ICD-11における定義
- ゲームの使用をコントロールできない状態が12ヶ月以上続く
- 他の活動(学業・家庭生活など)よりもゲームを優先
- 問題があると自覚していてもやめられない
このような状態が続くと、日常生活に大きな支障をきたすようになります。
なぜネットやゲームは「やめられない」のか?|脳の仕組み
スマホやゲームがやめられないのは意志の問題ではない?脳内の報酬系とドーパミンの関係をやさしく解説します。
1. 脳内の報酬系(ドーパミン)とは?
- ドーパミンは「快感」や「やる気」を生む神経伝達物質。
- ゲームやSNSは、このドーパミンを大量に分泌させます。
たとえば…
- ゲームのレベルアップ
- SNSの「いいね」通知
- ガチャでの当たり
これらの刺激が脳に「快」をもたらし、何度も繰り返したくなるのです。
2. セルフコントロール機能の未熟さ(前頭前野)
- 前頭前野(脳の前の部分)は「我慢」「判断力」を司る部位。
- 子どもや思春期はこの部分がまだ発達段階。
そのため、目の前の快楽(ゲームやSNS)を我慢する力が弱く、やめるのが難しくなります。
ゲームやSNSが依存を強める設計とは?
ゲームやSNSには、ユーザーを夢中にさせる心理的な設計があります。依存を強める仕組みを解説。
1. ランダム報酬の仕組み(ガチャ・ランキング)
- 不確実な報酬(当たりが出るかわからない)ほど中毒性が高い。
- パチンコと同じ「強化スケジュール」が組まれている。
2. ソーシャル比較と承認欲求
- SNSの「いいね」やフォロワー数により自己肯定感を得ようとする。
- 他人と比較して、より多くの承認を求めて利用が加速。
3. 継続利用を促す設計
- ログインボーナス
- 毎日ミッション
- 「あとちょっとでレベルアップ」
これらは“続けたくなる”心理を巧みに刺激しています。
ネット依存を防ぐために知っておきたいポイント
ネット依存を防ぐには?脳の発達特性や報酬設計を理解した上での家庭での対策ポイントを紹介します。
- 子どもに「依存は悪いこと」と叱るのではなく、まず「なぜやめられないのか」を一緒に考える。
- スマホやゲーム以外で「快」を得られる体験を日常に取り入れる(運動、遊び、創作など)。
- 家族でネット使用ルールを話し合い、決めていく。
まとめ|依存は意志の弱さではなく、脳の反応
ネット依存やゲーム障害は、「心が弱いから」ではなく、「脳が強い刺激に反応してしまう」状態。
子どもたちを守るには、仕組みを理解し、上手につきあうことが大切です。
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